赤い花畑 〜あかい はなばたけ〜

 そこは赤い花の咲く草原くさはら
 白い花が実らせたたねも、赤い花びらを持たない花のしゅも、この草原で芽吹いたいのちは、全て赤い花をつけるという。
 どこかから持ち込んだ株さえも、この地に根を張ると赤い花びらに変わるという。
 いつでも、どんなときでも。
 そこに咲くのは『赤い』花。

 もしもあなたがこの場所で、一輪の花を手折たおって帰ったなら――。

 いずれその花は『赤い』色を失うでしょう。
 本当に赤い花びらさえも『赤い』色を失うでしょう。

 そこは、いつまでも、赤い花畑。

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