ゼアドラの子 〜ぜあどら の こ〜

 海鷹うみたかのゼアドラは、広大な海にぽつんとそびえ立つ、高い高い岩山の頂点に巣を作って住んでいます。
 海鷹のゼアドラは、子どもの守り神です。
 捨てられた子や身寄りのない子、親に恵まれなかった子や未来に影の見えた子どもをさらって、この岩山に連れてきます。
 幾人もの子どもを、ゼアドラは一羽で育て上げます。
 そして一人の例外もなく立派に育て、絶海の岩山から人里へと送り出します。
 彼らは皆『ゼアドラの子』と呼ばれ、どこに行っても重宝されるのだとか。

 また、この孤高の岩山にやってくる果敢な勇者ゆうじゃもまれにおり、頂上まで自力で登りきった者の願いをかなえてくれるともいう。
 しかし、それが邪な勇者であれば、容赦なく海へと突き落とすのだとか。


 そうそう、一つ注意しておいてくださいね。
 もしもあなたがゼアドラの存在を知り、我が子をゼアドラに育てて欲しいから、と、わざと辛く接していたら、ゼアドラはあなたの眼をつついてつぶしてしまいます。そして、たくさんの呪詛を残してゆくことでしょう。



















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