英雄的女性 〜 ジーナ・シー 〜
かつて、ただの幼い少女だった彼女は、神隠しに遇い姿を消しました。
その行き先こそが異世界――精霊の国だといわれていますが、神の住まう国であったとも伝えられています。
その後、数年の時を経て、ある日忽然と戻ってきた彼女は、
妖精と呼ばれるものから、
精霊と呼ばれるものから、
神と呼ばれるものから、
魔と呼ばれるものから、
『英雄的女性』と呼ばれていました。
全ての存在が、唯一認める人間。
ジーナ・シー。
弱い存在を認め、強い存在を従え、異世界と行き来し、讃えられ続ける英雄。
普通の人間でありながら、強い力と強い意思を兼ね備えている伝説の女性。
けれど不思議なことに、その後の彼女の消息を知る者は、なぜかほとんどいません。
ある人は言います。――彼女は再び精霊の国へ行ったのだと。
ある人は言います。――彼女はグラスセリスのどこかで普通に暮らしていると。
ある人は言います。――彼女は神になったのだと……。