魔王の花嫁 〜まおう の はなよめ〜

 あるところに、双子の女の子が生まれました。
 そのうちの一人は美しい顔立ちをしていましたがく、もうひとりは一人はとてもみにくい顔立ちをしておりました。
 それを恥じた母親は、醜いほうの子に仮面を付けて育てました。

 月日が流れ、美しい顔立ちの子はちやほやと甘やかされて育ったのでとても傲慢な娘に、醜い顔立ちの子はさげすまれて育ちましたがとても心優しい娘に成長していました。

 そんな醜い顔立ちの娘の心優しさに惹かれた、人物がおりました。
 ある日、母親のいいつけで買い物に出かけた仮面の娘の前に、その人物は現れて言いました。
「わたくしは、貴女が幼き日よりその姿をみかけておりました。そして貴女の美しさに胸を撃たれました。わたくしはこの地を統べる魔の王です。どうぞ、わたくしの妻になってください」

 娘は言いました。
「ああ、魔王様。貴方様のお言葉はうれしくございます。けれど、どなたかとお間違いではありませんか? わたくしの顔は、とても醜くゆがんでいます…」

「いいえ、あなたはとても美しい」
 男は首を振り、手も振れずにその仮面をはずしてみせました。
「貴女の心は、誰よりも何よりも美しい。わたくしはそれに胸を撃たれました。けれど貴女が望むなら、美しい皮も差し上げましょう」
 魔王は、美しい顔とさらに永遠の命の半分を娘にやりました。


 二人は半分ずつの永遠の命が尽きる瞬間まで、幸せに暮らしましたとさ。

















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