年老いた狐の話 〜としおいた きつね の はなし〜

 一匹の老狐が、自分の死ぬ場所を求めて旅をしておりました。山を降り、人里を越えて、たどりついたのは荒野に立つ枯れ木――うろ様でした。
 そうとは知らない老孤は、ここだ、と決めてそのうろの中で丸くなったものの、弱りきったはずのの体にいつまでたっても死は訪れません。
 それどころか、逆に、目も耳もよくなって、まるで死ぬ気がしないのです。

 数日後、狐は死ぬことをあきらめ、もといた山へ、とぼとぼと帰ったそうな。

 その狐は今でも生きていて、山の主神になったと伝えられているのです。

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