栗鼠のカーニャ 〜りす の かーにゃ〜
昔のことです。その枯れ木が人々から『うろ様』と呼ばれ始めたばかりのころ、そこには、一匹の栗鼠が住んでいました。
栗鼠は、カーニャという名前でした。
カーニャはいつも、遊んで暮らしてばかり。冬が近くなっても、ほかの栗鼠のようにたくわえを集めたりしません。それでもカーニャは、涼しい顔をしてそこに住み続けることができていました。うろの中には、いつでも木の実がころがっていたからです。
ある年、カーニャはお嫁さんをもらい、森へ引越しました。それからのカーニャは、ほかの栗鼠たちと同じように秋にはせっせと働き、二匹で過ごす冬に備えるようになりました。
中むつまじい二匹の間に、やがて子どもが生まれました。しかし、生まれて間もなく、その子栗鼠は死んでしまいました。
あくる年、再びカーニャたちに子どもがうまれました。けれどやっぱり、いくらも経たないうちに死んでしまいました。
悲しみにくれるカーニャは、ふと、いつも木の実が転がっているうろのことを思い出しました。
カーニャはお嫁さんと一緒に、昔住んでいた枯れ木に戻ることにしました。
そのあくる年、二匹の間に三度子どもが生まれましたが、やはりすぐに弱りはじめました。それを見てとったカーニャは、一番大きなうろの中に子どもを放りました。
翌朝、カーニャとお嫁さんがうろの中へ行ってみると、元気になった子栗鼠がいましたとさ。